「んげッ」
鼻歌まじりで廊下を歩いていたミサトが、素っ頓狂な声を上げて立ちつくた。
両手をポケットに突っ込みながら、シャツのボタンをだらしなく開けている加持が、ミサトに向かって歩いてくる。ミサトは苦々しい顔をして加持を睨み上げた。
「おいおい、いきなり“んげ”は無いだろう。葛城一佐殿」
加持は苦笑いしながら、ミサトに近づく。
「しょうがないでしょ、あんたの顔見たら、自然に出ちゃったのよ。本心が」
「本当に本心かな? 俺にはそうは見えない」
さりげなく、加持はミサトに身を寄せる。しかしミサトは目を光らせ、勢いをつけてバックステップする。
「寄らないでよ! あんたってもう、ホントに! いつもいつもいつもそうなんだから!」
眉間に皺を寄せ、ミサトは加持を睨みつける。
「いいじゃないか、近寄るくらい」
ゆったりとした身のこなしで、加持がミサトに近づく。その度にミサトは後ろに飛ぶ。
近づく、飛ぶの攻防を何度か繰り返すうちに、ミサトは虚をつかれたように動くことが出来なくなった。気がついたらミサトは壁を背にしていた。
加持は笑顔でミサトに覆いかぶさる。
「そんな露骨に避けられたら、いくら俺でも傷つく」
ミサトの耳元で加持が囁く。
「やぁッ」
ぴくんと肩をすくめ、ミサトは身を逸らした。身を縮ませるミサトを見つめながら、加持はミサトのうなじを撫でる。そしてそのまま、ミサトの髪をかき上げた。
加持は柔らかい笑みをミサトに向ける。ミサトは背中を揺り動かし、頬を赤らめて加持を見上げる。
「やめてよ、こんなところで。何考えてるの」
「こんなところ、じゃなければいいのかな?」
ミサトの背後で扉が開く音がした。寄りかかっていた壁が突然無くなってしまい、ミサトは背中から倒れる。
「きゃあッ」
とっさに加持はミサトを抱き寄せる。そして、そのまま奥へと入る。
「ちょっと! な、何するのよ!」
急に抱きつかれ、更には部屋に連れ込まれ、ミサトは混乱する。
「何って、転びそうだったから助けたんだよ、葛城一佐殿」
「私ならもう大丈夫よ。だから離れて!」
ミサトは身体を揺らし、加持から逃れようとする。しかし加持は、ミサトの腰をしっかりと抱き留めていて、逃れることができない。
「照れることは無い、葛城一佐殿」
キッと厳しく、ミサトは加持を睨んだ。
「何よさっきから、一佐殿、一佐殿って。私をバカにしてるの!?」
「とんでもない、一佐殿は一佐殿だろう? 俺は敬意を表してそう呼んでいるだけだ」
ぎゅうっと、ミサトは加持の鼻をつまみ上げた。
「いてててて」
「そうやって、わざと他人行儀っぽく振舞うの、やめてくれない? なんだか無性に腹が立つわ」
「悪い悪い、悪かったよ、葛城。だから鼻、解放してやってくれないか」
ミサトは鼻から手を離し、軽くデコピンする。
「わかればよろしー」
笑顔をみせるミサト。
「いてててててて」
再び、加持は苦痛の表情を浮かべる。
「さ・っ・さ・と、手を離しなさいよ!」
腰を抱き掴んでいる加持の手を、ミサトはおもいきりつねり上げていた。
「っててて、でもな葛城。この手はどうしても放すことができない」
「どうしてよ」
「手を離したら、また逃げていっちゃうだろ」
「当然でしょ!」
「それは困るんだよ、葛城」
不意に、ミサトは加持に唇を奪われた。突然のキスにミサトは頭が働かず、しばらくの間、加持に身をまかせてしまう。
唇を重ねるだけのキス。しかし、胸を熱くさせられるキス。ミサトは心地よい温かさに包まれ、とろけた目で虚空を見つめる。
ほどなくして、加持は唇を離した。
「手を離したら、こうしてキスをすることが出来ないだろう」
ミサトの顔が、かぁっと紅潮する。どうしようもない恥ずかしい気持ちが、急激にミサトを襲った。
「ふっ、ふざけないでよ!」
手をバタバタと振り、ミサトが暴れ出した。
「ふざけてなんかいない」
暴れるミサトをしっかりと抱きとめながら、加持は再び唇を奪う。温かい舌が、ミサトの柔らかな唇を開く。そして、ミサトの中へと入っていく。
加持はミサトの舌に触れ、舐め上げ、絡める。唇が触れ合い、舌が互いを舐め合う感触に、ミサトは心を溶かし、とろけさせる。
「んんッ」
ミサトは大人しくなり、加持に敵意を示さなくなった。むしろ加持の首の後ろに腕を絡め、自ら加持に抱きつく。
(つづく)
鼻歌まじりで廊下を歩いていたミサトが、素っ頓狂な声を上げて立ちつくた。
両手をポケットに突っ込みながら、シャツのボタンをだらしなく開けている加持が、ミサトに向かって歩いてくる。ミサトは苦々しい顔をして加持を睨み上げた。
「おいおい、いきなり“んげ”は無いだろう。葛城一佐殿」
加持は苦笑いしながら、ミサトに近づく。
「しょうがないでしょ、あんたの顔見たら、自然に出ちゃったのよ。本心が」
「本当に本心かな? 俺にはそうは見えない」
さりげなく、加持はミサトに身を寄せる。しかしミサトは目を光らせ、勢いをつけてバックステップする。
「寄らないでよ! あんたってもう、ホントに! いつもいつもいつもそうなんだから!」
眉間に皺を寄せ、ミサトは加持を睨みつける。
「いいじゃないか、近寄るくらい」
ゆったりとした身のこなしで、加持がミサトに近づく。その度にミサトは後ろに飛ぶ。
近づく、飛ぶの攻防を何度か繰り返すうちに、ミサトは虚をつかれたように動くことが出来なくなった。気がついたらミサトは壁を背にしていた。
加持は笑顔でミサトに覆いかぶさる。
「そんな露骨に避けられたら、いくら俺でも傷つく」
ミサトの耳元で加持が囁く。
「やぁッ」
ぴくんと肩をすくめ、ミサトは身を逸らした。身を縮ませるミサトを見つめながら、加持はミサトのうなじを撫でる。そしてそのまま、ミサトの髪をかき上げた。
加持は柔らかい笑みをミサトに向ける。ミサトは背中を揺り動かし、頬を赤らめて加持を見上げる。
「やめてよ、こんなところで。何考えてるの」
「こんなところ、じゃなければいいのかな?」
ミサトの背後で扉が開く音がした。寄りかかっていた壁が突然無くなってしまい、ミサトは背中から倒れる。
「きゃあッ」
とっさに加持はミサトを抱き寄せる。そして、そのまま奥へと入る。
「ちょっと! な、何するのよ!」
急に抱きつかれ、更には部屋に連れ込まれ、ミサトは混乱する。
「何って、転びそうだったから助けたんだよ、葛城一佐殿」
「私ならもう大丈夫よ。だから離れて!」
ミサトは身体を揺らし、加持から逃れようとする。しかし加持は、ミサトの腰をしっかりと抱き留めていて、逃れることができない。
「照れることは無い、葛城一佐殿」
キッと厳しく、ミサトは加持を睨んだ。
「何よさっきから、一佐殿、一佐殿って。私をバカにしてるの!?」
「とんでもない、一佐殿は一佐殿だろう? 俺は敬意を表してそう呼んでいるだけだ」
ぎゅうっと、ミサトは加持の鼻をつまみ上げた。
「いてててて」
「そうやって、わざと他人行儀っぽく振舞うの、やめてくれない? なんだか無性に腹が立つわ」
「悪い悪い、悪かったよ、葛城。だから鼻、解放してやってくれないか」
ミサトは鼻から手を離し、軽くデコピンする。
「わかればよろしー」
笑顔をみせるミサト。
「いてててててて」
再び、加持は苦痛の表情を浮かべる。
「さ・っ・さ・と、手を離しなさいよ!」
腰を抱き掴んでいる加持の手を、ミサトはおもいきりつねり上げていた。
「っててて、でもな葛城。この手はどうしても放すことができない」
「どうしてよ」
「手を離したら、また逃げていっちゃうだろ」
「当然でしょ!」
「それは困るんだよ、葛城」
不意に、ミサトは加持に唇を奪われた。突然のキスにミサトは頭が働かず、しばらくの間、加持に身をまかせてしまう。
唇を重ねるだけのキス。しかし、胸を熱くさせられるキス。ミサトは心地よい温かさに包まれ、とろけた目で虚空を見つめる。
ほどなくして、加持は唇を離した。
「手を離したら、こうしてキスをすることが出来ないだろう」
ミサトの顔が、かぁっと紅潮する。どうしようもない恥ずかしい気持ちが、急激にミサトを襲った。
「ふっ、ふざけないでよ!」
手をバタバタと振り、ミサトが暴れ出した。
「ふざけてなんかいない」
暴れるミサトをしっかりと抱きとめながら、加持は再び唇を奪う。温かい舌が、ミサトの柔らかな唇を開く。そして、ミサトの中へと入っていく。
加持はミサトの舌に触れ、舐め上げ、絡める。唇が触れ合い、舌が互いを舐め合う感触に、ミサトは心を溶かし、とろけさせる。
「んんッ」
ミサトは大人しくなり、加持に敵意を示さなくなった。むしろ加持の首の後ろに腕を絡め、自ら加持に抱きつく。
(つづく)