つぶやくシンジ、しごくマリ。その刹那、シンジは尿道に、猛烈な勢いで液体が流れ出ていくのを感じた。出た、射精した、シンジは思った。
「ふふッ、どう、シンジ。本物の限界寸前を体験してる感想は」
「寸前? えっ? どういうこと?」
シンジは困惑した。確かに感じた射精感、しかし射精した痕跡が見当たらない。マリの手には白濁汁がついていない。
「シンジ、いま射精したと思ったでしょ? 違うよ、出たのはお汁、先走り汁だよ」
マリはいやらしく微笑む。
「本当の限界ぎりぎりまでくるとね、お●んちんが射精と勘違いして、精液じゃなくて先走り汁を発射しちゃうんだよ」
マリの言う通りに、本来発射されるはずだった白濁汁と同じ量の、もしくはそれ以上の量の先走り汁を、シンジは性器から発射していた。それはまるで女性の潮吹きのような、透明な飛沫を吹き上げていた。
「さぁて、教えてよシンジ。今まで知らなかった世界を見せられるのって、どんな感じ? どんな気分?」
ぼんやりと虚空を見つめていた目を、マリの方に向ける。まるで人形に見つめられているような、無機質な顔のシンジ。マリはシンジの顔をうっとりとした目で眺め、唇を舌舐めずりした。
「変だよ、すごく……出したと思ったのに、出してないから……満足してるような、してないような……達成感があるようで、でもすごく空しくて……せつなくて……苦しい……でも嫌いじゃない……闇……違う、明るい……だめ、わけがわからない……」
「ふふッ、そうなんだ。どう? すごくぞくぞくするでしょ? 気持ちいいでしょ? たまらないでしょ?」
マリは性器を握ったまま、ぐっしょりと濡れた手を舐める。そして手と一緒に、性器もぺろぺろと、ぺろぉと舐め上げる。
全身から力が失せてぐったりとしているシンジは、抜け殻のようになっている。
「不思議な体験でしょ? 私、そういう体験するのがたまらなく好きなんだ。だから、たくさん研究して、そういう体験ができる方法をいっぱい見つけたの。それをシンジにも見せてあげるよ」
くすくすと笑みながら、マリはまるで子供をあやすように、シンジの頭をやさしく撫でる。不思議な感覚に包まれているシンジは、やさしくしてくれるマリが愛しく思えた。
「お●んちん、かちかちだね。先走り汁を発射すると、ずっと勃起したままになるんだよ」
濡れた性器の先っぽを人差し指で撫でさすりながら、マリはシンジの耳元で囁いた。性器がぴくんと跳ね上がる。
「もうお●んちんは大きいままだから、いくらでも遊べるよ。だから、私をたっぷり気持ちよくしてね」
甘い小悪魔のようなマリ。そんな小悪魔におねだりされ、シンジは動揺した。
「ぼく、その、あの……わからないんだ……こういうことって、その……はじめてだから」
目を細めて笑みながら、マリはシンジの耳たぶを甘噛みする。シンジは身体をぴくっと揺らした。
「知ってるよ。シンジがキスも、それ以外のエッチなことも、女の子とすること全部が初めてだってこと。シンジは完璧な、純正チェリーボーイくんだもん」
耳たぶをぺろぉと舐めながら、吐息まじりに囁く。
「私がリードしてあげる。シンジは私の言う通りにすればいいよ」
マリは身体を起こして、シンジに馬乗りになる。
「シンジは初めてだから、私の着てる服、脱がさせてあげる」
そう言ってマリは、シンジの両手を掴み、ブラウスのボタンを掴ませた。
「そんな、ぼく、そんなこと、出来な……」
「できるよね、シンジ」
シンジが言い終える前に、マリは諭すように言った。馬乗りの状態で見下されているシンジは、笑顔なのだが妙に迫力のあるマリの顔を見て、言い返すことが出来なくなってしまう。シンジは腕を伸ばしながら、おそるおそるブラウスのボタンを外していく。
「そんなに緊張しなくてもいいのに。可愛いなあ、シンジは」
シンジの指は震え、更に指先が汗で濡れて滑ってしまう。何度もボタンを外しそこなった。それでも時間をかけて、なんとか全てのボタンを外した。開かれたブラウスからは、マリの白くて美しい身体と、胸を隠しているブラが見え隠れしている。
「いま、シンジがしたいこと、当ててあげようか? 私のおっぱい見たいんでしょ」
心臓がどくんと跳ね上がった。図星だった。チラ見えするブラがどうしても気になって、シンジは頭を起こしてマリの胸を凝視していた。
(つづく)
そう言ってマリはシンジの性器を掴み、上下に素早く擦りだした。しかし性器を掴む手は、握るというよりは、少し強めに触れているという程度のゆるゆるとした握り具合であった。はっきりと感じるマリの手の感触、素早い上下動は性器に快楽を与えていく。だが握力、つまりは性器への圧力が少なく、性器はなかなか高まってくれない。逆に言えば、ひどくゆっくりと、じわじわと高まっていく。
「ひぃぅ、うああぁぁぁ」
背中がぞくぞくしっぱなしだった。じれったい、はやく出したい、そして気持良くなって、ラクになってしまいたい。しかし射精を許されない。もう少しで、あと少しで、射精にまでたどり着く。しかし射精を許されない。射精寸前のところを行ったり来たり、その繰り返し。
いつもしている自慰は、自分がしたいときに、自分がイきたいときに、自分のタイミングで射精ができた。しかし今は、射精する権利をマリに奪われている。マリに射精をコントロールされ、完全にもてあそばれてしまってる。
つらい。ひどく苦しく、つらい。だが半面、いままで感じたことのないような快楽も感じている。つらいのに気持いい。苦しいのが、むしろ嬉しさを倍増させる。
「すごいよシンジ。さっきからお●んちんから汁が出っぱなしだよ」
マリはシンジの後頭部に手を当てて頭を起こし、しごいている性器をシンジに見せつけた。
「ほら、見えるでしょ。私の手、あんなにぐちゃぐちゃに濡れてる。シンジの汁のせいで、私の手もお●んちんも、もうぐっちゃぐちゃだよ」
マリの言うとおり、性器は大量のカウパー腺液を溢れさせていた。
「お●んちんから汁が出るってことは、私とエッチなことしたいって、言ってるのと同じだよ。こんなに出しちゃうなんて、シンジはそんなに私とエッチなことしたいんだ」
胸が、かあっと熱くなった。恥ずかしさ、怒り、情けなさ、惨めさ、色々な感情がいっぺんにシンジを襲う。たまらずシンジは言い返した。
「そ、そんなことないよ! エッチなことなんて、そんなこと!」
マリは、ずいっと顔をシンジに近づけ、にぃっと笑った。
「したいしたいって、シンジのお●んちんが言ってるよ。身体がそう言ってるのに、シンジがウソ言うのはおかしいよ」
シンジは言葉を失った。何も言い返せない。マリの言っていることは真実だった。
「シンジって、すっごいスケベだね。ドスケベだよ、シンジ」
また胸が、かあっと熱くなった。しかし言い返せない。もうマリに反論することができない。シンジは顔を真っ赤にしながらも、唇を噛んで耐える。
「ほら、シンジ。こんなにお●んちんを擦ってるのにイけないなんて、すごく気持ちいいでしょ? イクかイかないかの境い目が、一番気持いいんだよ」
いくら擦ってもイけない。射精寸前の状態をいつまでもキープさせられる。そんなキープ状態に、シンジはだんだんと慣れてきていた。すると、性器からは痛みを感じなくなり、強烈な快楽も感じなくなっていた。感じるのは心地よいしびれ。そのしびれは脳までもしびれさせ、全身がぬるま湯に浸かっているような感覚に包まれる。そしてだんだんと意識が薄れ、頭の中がぼんやりとしてくる。
「シンジ、今いい顔してるよ。今まで感じてた激しい感覚が無くなって、とっても静かになったでしょ」
シンジは答えなかった。マリの声が耳に届いても、返事をする気になれない。ふわふわとした感覚に身を寄せているのが、今はとても心地よい。
「あ、あっ、な、なんだか……で、でる……かも……もれそう」
シンジの言葉を聞いて、マリの手の動きが慎重になる。
「限界が本当に近いんだね。ここからが楽しいんだよ」
じわりじわりと性器は限界に近づいていく。まるで表面張力で膨らんでいるコップに更に水を入れるような、シンジはそんな気分にさせられる。マリの手つきは、表面張力の限界すれすれにまで水を入れるような繊細さで、性器を擦り上げていく。
(つづく)
「ちょっと……痛いかも」
シンジは消え入りそうな声で呟いた。それは無意識のうちに発した言葉だった。痛いと言い洩らしてしまうほどに、性器が痛む。
いまさらながらに、シンジは自分が性的興奮を覚えていることに気がついた。これ以上にないほどに興奮している。そのせいで性器には異常なまでの量の血液が集まり、限界を超えた勃起をしていた。
「痛いの? そうなんだ」
フフッと笑みつつ、マリは唇を舐める。性器を撫でているマリは、シンジが異常な勃起をしているのに気がついていた。性器が放つ物凄い熱量、そして硬さ。海綿体が裂けるのではと不安になるほどに、シンジの性器は膨れている。
「じゃあ、もっとよくしたら、もっと痛くなっちゃうのかな」
意地悪な笑顔をシンジに向けながら、マリはシンジのズボンのジッパーをゆっくりと下ろす。ジッ、ジッと、ひとつひとつ、じらすように、ジッパーが下ろされていく。
「くぅ、ぅぅうッ」
痛みに耐えながら、シンジは苦しそうにマリを見つめる。ジッパーが下されるという状況に、シンジは嫌がおうにも期待してしまう。これからマリは何をするのだろうか。それはとても気持ちよく、男として嬉しい、して欲しい行為に違いない。いろいろなことを想像をしてしまう。それはシンジを更に興奮させ、そして性器はどんどんと血液を集中してしまう。
「苦しそうだね、シンジ」
言葉とは裏腹に嬉しそうなマリは、妖艶な視線をシンジに向ける。やっとジッパーが下まで降りると、マリは開口したズボンに手を入れ、パンツをずり下ろした。露出したシンジの性器。マリは躊躇することなく、ぎゅううと握った。
「うあぁッ」
シンジは苦悶し、顔を歪ませながら、甘い悲鳴を上げた。性器が痛い。ただでさえ痛い性器を握られてしまい、下半身に電撃が走った。しかしその一方で、女の子のやわらかい手の感触が気持よくて心地よい。
「シンジの声、可愛い」
ズボンの開口部から、マリはシンジの性器を取り出す。そしてくすぐるように、指先で性器をさすり上げる。触れるか触れないかの絶妙な指使いが、むずがゆくてじれったい。しかし、それがひどく気持がいい。
シンジの性器は一気に高まっていく。そのまま爆ぜて射精してしまいそうだった。だが限界が近づいてくると、それ以上は高まっていかない。刺激が足りない。射精するには、もっと強い刺激が必要であった。
「ううう、うあぁぁッ」
性器を痛ませつつも、快楽に溺れていくシンジ。射精の予感があるのに、イクことができないじれったさ。シンジは頭がおかしくなりそうだった。マリにどうにかして欲しい。そう思いつつも、シンジは何も言えないでいた。もともと人にお願いするのが苦手な性格のシンジ、それに加えて我の強いマリ、シンジは言葉を口に出せないでいる。
「イきたい? 出したいんでしょ。でもダメだよ。出すのはもっともっと、たくさん遊んでからだから」
声を殺しながら悶えるシンジを見て、マリは楽しそうに言った。
(つづく)
2人の唇の間では、だ液が混じり合ってぐちゅぐちゅと水音を響かせている。あまりに激しいキスに、シンジは身体を震わせる。そしてとっさに、マリの両肩を掴んだ。対してマリはシンジの顔をしっかりと掴み、激しすぎる口淫を続ける。
溺れちゃう、シンジはそう感じた。キスをされ続けているうちに、シンジはどんどんとマリに引き込まれていくような、奇妙な感覚を覚えていた。そのままマリに飲み込まれ、マリとひとつになってしまいそうな、そんな予感がする。
「うッ、くぅぅ」
シンジは怖くなった。このままではマリに取り込まれてしまう、それがひどく怖い。そんな恐怖心からか、シンジはマリの肩を掴みながら腕をつっぱねた。マリを引きはがそうとするシンジ。しかしマリはシンジの顔に抱きつき、離れようとしない。それどころか、マリの舌は激しさを増していく。
柔らかく、温かく、そして滑らかで、心地よいマリの舌の感触。口の中をマリに舐めつくされ、シンジの口内のありとあらゆる箇所には、マリの舌の感触が残っている。胸が熱い、そして心も熱くなっている。シンジは恐怖を感じつつも、その裏では言い知れぬ高揚を感じていた。このときシンジは気が付いていなかったが、マリの口淫に対してすっかり興奮していた。
無意識のうちに、シンジは舌を動かす。そしてマリの舌を探した。2人の舌が触り合うと、シンジはマリの舌に自分の舌を絡める。“クスッ”
マリが笑んだ。最初は戸惑うだけで何もできないでいたシンジであったが、だんだんとマリに惹かれていき、そして自分からマリを求めていく。マリは、そんなシンジがひどく可愛い存在に思えた。
「あっ」
甘い吐息を洩らしながら、シンジは呟いた。マリが唇を離したのだ。
2人は頬を赤らめながら、熱っぽい目で見つめ合う。シンジは甘えきった子犬のような目で、マリは発情した雌豹のような目で、互いを見つめる。
「感じちゃったのかな、シンジ」
得意げな笑みを浮かべながら、マリはシンジを見下ろす。しかしシンジは、マリが何を言っているのか理解できなかった。まだシンジは、自分が性的に興奮していることに気がついていない。ぽかんとした顔をしているシンジに、マリはシンジの股間をゆびさして言った。
「ほら、大きくなってる。シンジ、感じちゃったんでしょ」
シンジは慌てて自分の股間を覗く。確かに大きくなっていた。自分で気がつかないうちに、シンジは性器を膨張させていた。
「すごいね、シンジ。かちかちだよ、これ」
マリは右手をシンジの股間に滑り込ませ、性器の先っぽを擦り上げた。
(つづく)
シンジの目には雲と青い空が映っている。その空の中に、何か別のものが映り込む。それはだんだんと大きくなっていく。確実に近づいてくる。
ハッとしたシンジはとっさに身を起こすが、間に合わなかった。それはシンジに向かって体当たりした。
「うわぁッ」
「きゃあぁッ」
シンジは空から舞い降りた少女に抱きつかれ、ごろごろと転がる。ようやく動きが止まると、2人の上にパラシュートが覆いかぶさった。
「なな、なんだよこれ」
シンジは困惑しながらも、パラシュートをどかす。シンジに抱きついている少女も、同じようにパラシュートをどかしている。
パラシュートをどかしきると、シンジの目の前には少女の顔があった。少女とシンジの顔は、数センチしか離れていないとういう至近距離、更に身体は抱きついているため密着している。
「わぁッ」
シンジは少女が空から降ってきたという異常な状況よりも、自分に女の子が抱きつているという状態に驚いた。驚きのあまりに混乱しているシンジに対し、少女はあどけない笑顔を向ける。しかし状況がつかめていないシンジは反射的に後ずさりし、少女から離れてしまう。
「ごめんね、びっくりさせちゃったね」
少女は四つん這いになってシンジに近づく。そんな少女をシンジはまじまじと見つめた。少女の見た目から、歳は近いと思われる。学校の制服を着ているが、シンジの通っている学校のものとは違っていた。
肘を床について上半身だけを起こしている状態のシンジに、少女は四つん這いのまま覆いかぶさる。再度、2人の顔が至近距離にまで近づく。
「私、真希波・マリ・イラストリアス。マリでいいよ」
シンジはぽかんとしながらマリを見つめる。そして少ししてからハッとし、シンジも名乗った。
「あ、ぼ、ぼくは碇シンジ。ぼくは、えっと、シンジでいいよ」
マリはにっこりと笑み、そしてシンジのうなじに顔を埋める。
「わぁ、な、なにしてるの?」
「シンジって、面白い匂いがするね」
シンジは顔を赤くして、マリを見つめる。
「え? なに? 匂い?」
「私のよく知ってる匂い。私の好きな匂い」
マリはクスッと笑み、そしてシンジのうなじをぺろぉと舐め上げた。
「うわぁ、な、なに?」
シンジの頬を両手でやさしく掴み、マリは目を細めて笑んだ。その笑みは無邪気なようで、妖艶なようで、女の子というよりはメスを思わせる、シンジにとっては初めて見る女性の表情だった。
「私、シンジに興味ある。すごく興味がある」
マリは顔をシンジに寄せ、唇を奪う。
(つづく)