鼻歌まじりで廊下を歩いていたミサトが、素っ頓狂な声を上げて立ちつくた。
両手をポケットに突っ込みながら、シャツのボタンをだらしなく開けている加持が、ミサトに向かって歩いてくる。ミサトは苦々しい顔をして加持を睨み上げた。
「おいおい、いきなり“んげ”は無いだろう。葛城一佐殿」
加持は苦笑いしながら、ミサトに近づく。
「しょうがないでしょ、あんたの顔見たら、自然に出ちゃったのよ。本心が」
「本当に本心かな? 俺にはそうは見えない」
さりげなく、加持はミサトに身を寄せる。しかしミサトは目を光らせ、勢いをつけてバックステップする。
「寄らないでよ! あんたってもう、ホントに! いつもいつもいつもそうなんだから!」
眉間に皺を寄せ、ミサトは加持を睨みつける。
「いいじゃないか、近寄るくらい」
ゆったりとした身のこなしで、加持がミサトに近づく。その度にミサトは後ろに飛ぶ。
近づく、飛ぶの攻防を何度か繰り返すうちに、ミサトは虚をつかれたように動くことが出来なくなった。気がついたらミサトは壁を背にしていた。
加持は笑顔でミサトに覆いかぶさる。
「そんな露骨に避けられたら、いくら俺でも傷つく」
ミサトの耳元で加持が囁く。
「やぁッ」
ぴくんと肩をすくめ、ミサトは身を逸らした。身を縮ませるミサトを見つめながら、加持はミサトのうなじを撫でる。そしてそのまま、ミサトの髪をかき上げた。
加持は柔らかい笑みをミサトに向ける。ミサトは背中を揺り動かし、頬を赤らめて加持を見上げる。
「やめてよ、こんなところで。何考えてるの」
「こんなところ、じゃなければいいのかな?」
ミサトの背後で扉が開く音がした。寄りかかっていた壁が突然無くなってしまい、ミサトは背中から倒れる。
「きゃあッ」
とっさに加持はミサトを抱き寄せる。そして、そのまま奥へと入る。
「ちょっと! な、何するのよ!」
急に抱きつかれ、更には部屋に連れ込まれ、ミサトは混乱する。
「何って、転びそうだったから助けたんだよ、葛城一佐殿」
「私ならもう大丈夫よ。だから離れて!」
ミサトは身体を揺らし、加持から逃れようとする。しかし加持は、ミサトの腰をしっかりと抱き留めていて、逃れることができない。
「照れることは無い、葛城一佐殿」
キッと厳しく、ミサトは加持を睨んだ。
「何よさっきから、一佐殿、一佐殿って。私をバカにしてるの!?」
「とんでもない、一佐殿は一佐殿だろう? 俺は敬意を表してそう呼んでいるだけだ」
ぎゅうっと、ミサトは加持の鼻をつまみ上げた。
「いてててて」
「そうやって、わざと他人行儀っぽく振舞うの、やめてくれない? なんだか無性に腹が立つわ」
「悪い悪い、悪かったよ、葛城。だから鼻、解放してやってくれないか」
ミサトは鼻から手を離し、軽くデコピンする。
「わかればよろしー」
笑顔をみせるミサト。
「いてててててて」
再び、加持は苦痛の表情を浮かべる。
「さ・っ・さ・と、手を離しなさいよ!」
腰を抱き掴んでいる加持の手を、ミサトはおもいきりつねり上げていた。
「っててて、でもな葛城。この手はどうしても放すことができない」
「どうしてよ」
「手を離したら、また逃げていっちゃうだろ」
「当然でしょ!」
「それは困るんだよ、葛城」
不意に、ミサトは加持に唇を奪われた。突然のキスにミサトは頭が働かず、しばらくの間、加持に身をまかせてしまう。
唇を重ねるだけのキス。しかし、胸を熱くさせられるキス。ミサトは心地よい温かさに包まれ、とろけた目で虚空を見つめる。
ほどなくして、加持は唇を離した。
「手を離したら、こうしてキスをすることが出来ないだろう」
ミサトの顔が、かぁっと紅潮する。どうしようもない恥ずかしい気持ちが、急激にミサトを襲った。
「ふっ、ふざけないでよ!」
手をバタバタと振り、ミサトが暴れ出した。
「ふざけてなんかいない」
暴れるミサトをしっかりと抱きとめながら、加持は再び唇を奪う。温かい舌が、ミサトの柔らかな唇を開く。そして、ミサトの中へと入っていく。
加持はミサトの舌に触れ、舐め上げ、絡める。唇が触れ合い、舌が互いを舐め合う感触に、ミサトは心を溶かし、とろけさせる。
「んんッ」
ミサトは大人しくなり、加持に敵意を示さなくなった。むしろ加持の首の後ろに腕を絡め、自ら加持に抱きつく。
(つづく)
“びゅりゅう、びゅるるッ!!”
シンジが精を放つ。マリの中で爆ぜる。またも二人に絶頂が訪れた。
「すごい……よ……気持ちいい……気持ちよすぎて……とにかく気持ちいい……」
ぼんやりとした目をしたシンジが、心からの本音を漏らす。
「マリ……壁を超えるって……こういうことなの? ……」
シンジは背中から仰向けに倒れた。つられてマリも身体を持ち上げられる。そしてまた、繋がった性器を中心にしてマリを反転させた。騎乗位に戻る。そのままシンジは身体を起こし、マリを抱き寄せる。
「まだ、だね……終わりじゃないみたいだ……まだしたい……マリに出したいよ……」
マリの耳元でささやきながら、シンジはマリの身体を倒す。そして、マリに覆いかぶさった。正常位の格好になり、シンジはマリの口に吸いついた。強引に唇を奪う。マリはシンジの首の後ろに腕を絡め、シンジを抱き寄せた。
「んふぅ……んうう……あぅうん……」
舌を絡め合いながら、二人の口から甘い声が漏れる。二人の下腹部からは肉撃音が響いている。秘華から堕汁を飛び散らす激しすぎるピストンは、二人をどんどんと高めていく。
「んあ……ふぅぅ……ふくぅぅん……」
二人の舌は離れたくないと言わんばかりに、複雑に絡み合う。離すものかと、激しく求めあう。二人の混じり合ったよだれは、下になっているマリに全て注がれる。マリはごくり、ごくんと、大量のよだれを飲み落としていく。
“ずぱんッ! すぱんッ! じゅぷんッ! じゅぱんッ! ぐちゅるッ!”
シンジの容赦ないピストンが、マリの秘華と子宮口を撃ちまくる。マリに抱きつきながら、夢中になって腰を振り抜いている。
激しすぎるセックスに、マリは吹き飛びそうになる。飛ばされてなるものかと、マリはシンジにしがみつき、ぎゅううと抱きついている。
「んぶぅ……シンジ……ふぁうう……シンジぃ……んうぅ……しんじぃ……」
「んぐぅ……まり……んぶぁ……マリぃ……ふぃぁ……マリ……」
舌を絡め合い、求め合いながら、二人は互いの名を呼び合う。愛しくてたまらない。切なくて狂おしい。心が熱くて、温かくて、とろけて、燃え盛っている。
「シンジぃッッッッッ!!!!!」
突然マリは声を上げ、シンジの顔を掴んだ。そして口に吸いつき、おもいきり吸引する。
“じゅるじゅびゅるるるるるぅぅぅ”
口を吸われ、シンジの舌とよだれがマリに引っ張られる。唇と舌にびりびりと痛みが走るほどに、マリは強烈に吸い上げる。負けじとシンジもマリを吸い上げる。マリの全てを吸い込むと言わんばかりの、強烈な吸引。
互いにきつく抱き合いながら、全力でよだれを、じゅぶぶ、じゅううううと、吸引し合う。吸い上げが強すぎて、口の裏から血が滲み出てきた。
「シンジぃッッ!! 素敵だよぉッッ!! しんじぃぃぃッッ!!!!!」
マリは強引に唇を引き離した。そしてシンジの首に噛みつく。
「ッッッ!!!」
シンジは顔を歪めた。首筋に激痛が走る。マリは犬歯を立てて、歯を食い込ませる。
セックスに狂乱しているマリは、抑えきれない気持ちを爆発させていた。目の前にいるシンジが愛しすぎ、たまらなくなり、美味しそうで、気がついたら噛みついていた。
「ッッぁんッッ!!!」
マリがくぐもった声を漏らす。シンジもマリの首に噛みついた。気持ちが爆発したのは、シンジも同じであった。心の中に溜まった感情や情欲が、暴力的に開放された。
シンジは肉棒を撃ちこみながら、マリは秘華を撃たれながら、獣のように噛みつき合う。ぎりぎりと、二人は互いの首に噛みつく。マリの柔らかで白く美しい首に、シンジの歯が食い込んでいく。シンジの細い華奢な首に、マリの歯が食い込んでいく。そのまま頸動脈を喰いちぎりそうな勢いで、二人は首筋に噛みついている。
二人は異常すぎるセックスにどんどんと高まっていった。絶頂が近づいてくる。そんな時、口内に血の味が広がった。犬歯を伝って、舌の上にぽたぽたと血がしたたり落ちる。二人の歯は互いの首筋を噛み破り、血が滲み出てきていた。
シンジは驚いて目を見開いた。目の前でマリが舌舐めずりしていた。そして口角についた血を、マリは舌を伸ばして舐め取る。嬉しそうに、淫靡に、卑猥に、シンジを見つめながらシンジの味を堪能する。
ぞくっとした流れがシンジの背中を走る。同時に性器がびりりと痺れ、びくんッと震え上がった。
「くるッッッ!!!」
マリが叫んだ。そしてびゅううと、シンジの肉棒が爆ぜた。子宮に白濁汁がぶち掛けられ、マリの中をどろどろに汚していく。
「ぅッあああああッッッ!!!」
膣内がぎゅううと締まり、肉棒が締めつけられる。あまりの締めつけに、シンジは悲痛な声を上げた。
(つづく)
シンジは驚いて目を見開いた。マリの目が赤く光っているように見えた。驚いたシンジはまばたきをして、再びマリの目を見つめる。マリの目は澄んだブルーであった。
「見える。見えるよ、シンジ。絶頂がくる。もうすぐだよ。二人で果てよう。一緒にイこう」
いっそうに水音と打肉音が響き渡る。二人は歯を食い縛りすぎて、歯茎から出血していた。快楽に耐えるために噛み締めた唇からも、血が滲み出ている。
「きた! きたよ! わかる? シンジ! 目の前まできてる! 果てよう! 一緒に果てて!! 一緒に壁を超えて!! 超えてよ!!」
「わかるよ、マリ! 目の前だよ! すぐそこにきてるよ! 出したい! マリに出したい! マリの中じゃなきゃいやだ! マリに出す! 絶対に!!」
絶頂が近づき、高ぶった気持ちが言葉になる。そして、その時は遂に訪れた。
「ひぃがああぐあぁぁぎゅあゃにゃがあぁぁぅぁゅあああぁッ!!!」
野獣をも超えためちゃくちゃな音の咆哮が、天に向かって上げられる。二人は天を見上げながら、口を全開にして叫び上げる。
マリはシンジの上で堕天使の姿になって――背に向かって両腕を伸ばし、まるで羽を広げているような格好で――天を仰いでいる。シンジもマリと同じように、仰向けになりながら背に向かって両腕を伸ばす。
全身を震わせながら、二人は叫び続ける。頬につぅっと涙が伝った。それは赤い、鮮血の涙。二人は頬に赤い道筋を描く。
“びゅぐッ、びゅるるびゅりゅるるるびゅるりゅりゅりゅぅ”
シンジは猛烈な勢いで精を放った。マリは子宮口に熱い塊がぶち当たったのを感じた。身体が焼ける、シンジの精に焼かれる、そう思えるほどに、全身で精の熱を感じていた。
一瞬感じる、絶頂の快楽。想像を絶する凶暴すぎる快楽。それは脳が破裂したかのような、激しい衝撃だった。
「ひぎぐあぁぁぁああぁぁ……ぐぅあ……ぁぁあ…………」
二人の咆哮が収まっていく。そして二人には、空虚で真っ白な時が訪れる。恐ろしいほどに静かで、何も無い空間に二人で取り残されたような感じ。世界には二人しかいない、そんな錯覚を覚える。
しかしそれは一瞬のことであった。
“じゅぶッ! ぶじゅ、じゅびゅ、びじゅ、ぐちゅり、びちゅりッ”
マリは再び腰を振り始めた。淫靡な水音が響き渡る。ピストンと連動して、マリの中に放たれた精が飛び散る。
「ぎぃッ! ひぎあぁぁぐあぁぁああッ!!」
奥歯をむき出しにし、全身でセックスをするマリ。秘華で、マリの体内で、シンジの肉棒を擦り上げる。マリはセックスにすっかり夢中となっている。獣のような交尾に魅了されたマリは、腰の動きを止められず、絶頂を迎えてもシンジを求めてしまう。
「うああッ! ワアァァアアァッ!!」
シンジは頭を抱えながら悶え、身体を激しく振り出す。射精後も肉棒を刺激され、気が変になりそうな、暴力的快感にさいなまれる。
「はぅあッ! ひあぁぁうあぁぁぁッ!!」
無茶なセックス、そして射精、シンジの身体に異変が起こる。下腹部が異常なほどに震えだし、睾丸が痙攣している。膀胱周辺の力が抜け、まるでおもらしをしているかのような、だらしない、しまりのない感覚に襲われる。しかし肉棒は、相変わらずにぎちぎちに膨張している。
シンジは奇妙で不思議な状態にあった。腹から下が無くなってしまったかのような、ひどい空虚さを感じる。しかし肉棒の感覚は、はっきりと感じることができる。無と有をいっぺんに感じてしまい、シンジは恐くなった。無意識のうちに、シンジは両手でマリの腰を掴んだ。マリに触れていると、不安が消されていくような気がした。
「あはは、あはははははははははッ!」
突然、マリは狂ったように笑い出す。シンジに腰を掴まれて、更に激しくしろと、求められているのだと、マリは認識した。そしてマリは歓喜した。心から笑えた。笑いが止まらない。
ばしんばしん、どすん、がつん、ばすん、シンジの腰と背中が床に叩きつけられる。マリの激しすぎる腰振りのせいで、シンジの身体がピストン運動につられてバウンドする。その衝撃のせいで、目の前がチカチカと、光が破裂しているように見える。
「ぐわぁぁぐああぁぁぁああぁぁあッッッ!!!」
二人が叫ぶ。そしてあっけなく、二人は絶頂を迎えた。再びマリの子宮口に精が撃ち当てられる。放たれた精は、マリの中を更にどろどろにしていく。
遂にマリは動きを止めた。放心し、虚ろな目で虚空を見つめる。全身の色々な個所をぴくぴくと痙攣させながら、マリはぐったりとうなだれる。
「ダメだ! 止められない! マリ! 止まらない! だから、いいよね!!」
シンジはマリの両脚の付け根を掴み、勢いをつけてマリを反転させた。繋がっている性器を中心に、シンジの上でマリがぐるっと半回転する。
「ひゃああんッ」
たまらずマリは甘い声を上げる。シンジは強引に身体を起こす。すると、性器が繋がっているせいで、マリは前のめりに倒され、四つん這いの格好にさせられる。
“ぱんッ、ばんッ、パンっ、バンっ!!”
シンジはマリの腰を掴み、腰を振り出す。それは背後位セックスであった。バックから、激しく、深く、肉棒をマリに撃ち込む。マリの尻がシンジの腹を打つ。肉撃音が周囲に響き渡る。
「ひぁ、ひあぁ、ひぃああぁ、ふあぁぅああんッ!」
シンジに犯され、マリは甘い悲鳴を上げる。シンジを撃っていたマリが、今度はシンジに撃たれる。マリの背中にぞくぞく、ぞわぞわと、冷たくも火傷しそうな電撃が走り抜ける。
ぱんぱんと肉音がなるたびに、白濁汁と淫汁が混じった堕汁を、マリは秘華から飛び散らせる。
「いい! いいいいいッ! いいッ! いいッッ!! いいいいいぃぃいいッッッ!!!」
ごんごんと肉棒で子宮口を撃たれるたびに、マリは恍惚の表情を浮かべ、嬉しそうに笑む。舌をだらりとだらしなく落とし、舌を伝ってよだれが垂れ落ちる。
(つづく)
マリを見上げるシンジの目は、どうしようもないほどに優しく、温かかった。シンジの目を見て、マリは気がつく。
「そうか……そうなんだ……こんなに恐いのは……私、シンジのことを………」
マリは天に顔を向け、そして一度だけ深い深呼吸をした。
「ありがとう、シンジ」
顔を上に向けながら、マリは話しかける。
「飛ぶね。私、もう大丈夫だよ。だから飛ぶね。今度こそ、本当に全開だよ」
バッと勢いをつけて顔を振り下ろし、マリはおもいきり腰を振りぬく。身体全体を使って女性器で男性器を擦り上げる。激しすぎる荒淫が始まった。
「うわぁッ!」
シンジはとっさに下腹部に力を込めた。そしてなんとかマリの凶暴なセックスを受け止めた。激しすぎる荒淫に、シンジは少しも気が抜けない。気を抜いてしまったら、その瞬間にマリに飲まれてしまう。性快楽に敗北してしまう。
「ほら! どうしたの!? シンジもするの!! 犯してよ!! じゃないと、私、飛べない!! シンジだって飛べないよ!!」
にらみつけてくるマリに、シンジはうんと頷きを返す。そして腰を突き上げた。肉棒は深すぎるほど深くマリの奥へ侵入する。
「そう! そうだよ! 私を撃ち抜いて! 貫いて! 刺し上げて! 私が飛んじゃうくらいに突き飛ばしてよ!!」
マリはぐんぐんと腰振り速度を上げていく。それは人の限界を超えた速度であった。尋常じゃないピストン運動に、目がついていかない。それでもシンジは完璧にタイミングを合わせ、マリを肉棒で突き上げる。
「マリとぼく、すごいよ、すごいシンクロ率……本当にひとつになっているみたいだ」
“がつんッ!!“
子宮口がひしゃげるほどに亀頭がぶち当たった。物凄い衝撃がマリとシンジを襲う。二人の性器は傷つけ合い、今にも壊れてしまいそう。しかしそれでも、二人はセックスに没頭し、夢中になり、性器を刺し合う。止めるどころか、激しさを増すばかりであった。
「そう! すごい! そうだよ、これでいいんだよ! ……ううん、もっと! もっとすごいのがいい!! もっともっとすごい、もっともっと、すごく壊して!! どんどんすごいのして!! 二人で二人を破壊しちゃおうよ!!」
今まで以上に乱れるマリは、妖艶を通り越して極艶に淫らであった。野生を丸出しにする雌豹が、シンジの上で舞い、吠え、交尾を楽しんでいる。そんなマリにシンジも刺激されたのか、一心不乱に腰を突き上げる。肉棒が折れそうなほどに子宮口を叩き上げ、そのたびに肉棒がしなる。
「あああッ! いいよ! シンジ! シンジ!! シンジぃ!!!」
「マリ! うああッ! マリ! マリ!! マリぃ!!!」
二人の腰が性器を突き出し合い、完璧なまでのタイミングで性器がぶつかり合う。異常なほどにシンクロし合い、二人は性器を通してひとつになっている気がした。
「わからなくなってきたよ、ぼくとマリの境界線が……全身が溶け合って、混じり合って、ひとつになってる……気がする……」
「シンジ、もうとっくに、私とシンジはひとつだよ。ずっとずっと前から、私たちはひとつの存在――」
突然、二人は目の前が白くなり、全身に衝撃が走る。二人の中で大きく膨れがった快楽が暴走する。
「うああ! ふああぁッ!! うああわぁぁうぁあぅあぃああッ!!」
二人は狂った叫びを上げ合い、全身を襲う快楽と闘っている。興奮のピークに達している二人は、痛みや苦痛を吹き飛ばすことは出来る。しかし、快楽からは逃げられなかった。快楽はしつこく、どこまでもしつこく、いつまでも二人を襲ってくる。
「にぃあ!! ひゅあやぁああッゅにゅぶあぎゅあぁぅああッ!!」
壊れ歪んだ発音の甘い叫びが上がる。何度も気が狂いそうになりながらも、シンジはマリと一緒だからと、マリはシンジと一緒だからと、二人はそう心の中で想い合い、快楽に耐えていた。ひとりじゃない、そう思うと、不思議に耐えることができる。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
二人は天に向かって叫んだ。その瞬間、二人は溶け合い、混じり合ってひとつになった。性器を通じて、二人の心がひとつになる。
異常なセックスを続けながら、マリはシンジの頬をやさしく撫でた。
「全開、だよ。これが二人で到達するビーストモードの全開」
「わかる。ぼくにもわかるよ。マリの言っていること、マリが考えてることが」
今までの激しさが嘘のように、二人はとても涼やかで静かな表情をしている。しかし身体は、どうしようもないほどに激しく互いを求めている。
「まだ、だよね」
「そうだよ、シンジ。まだまだするよ。全開になれば終わり、じゃないもの」
二人はにこりと笑みを交わす。次の瞬間、二人は歯があらわになるほどに奥歯を食い縛り、野生の肉食獣のような咆哮を上げた。
「がああぁぁぁおあぁぁぁッ!!」
既に限界まで達していたかと思われた二人の異常なセックス、しかし更に、腰の速度が上がる。二人の目は鋭く上がり、まるで二匹の野獣が互いを喰い合っているような、闘争とも言えるセックスが繰り広げられる。
マリの中で淫汁と先走り汁が混じり合い、膣口から溢れ流れ出る。シンジの腰の下には、雨上がりかと思えるほどの、大きな水たまりが出来ている。じゅぶじゅぶ、ばんぱんッ、という淫靡な水音と肉打音が混じり、耳をもいやらしく犯していく。
「ぐぅ、うぐあぁぁぁッ!!」
叫びあう二人。もうまともに言葉を発することが出来ない。二人は高まっていく。どんどんと高まっていく。
不意に、マリの頭にある疑問がよぎる。マリは心の中で呟く。
(……イケない……高まるけど、絶頂まで届かない……全開で犯し合ってるのに……なんで?)
そしてマリは気づいた。
(うそ……ビーストモードには、全開の先がある……この感じ、きっとある……そんなのがあるなんて……全開の先の限界……もしかして、その限界の先もあるの? 私、いったいどこまでいける? どこまでいっちゃうの? どこまで連れて行かれるの!?)
背中にゾクッと電流が走る。自分が限界だと思っていたものは、本当の限界ではなかった。限界という壁があったら、その先がある。壁を越えたら、また次の壁が立ちふさがる。そうやって悠久の壁が現れ続ける。
(だまされたよ、限界って言葉に。そんなもの、はじめから無かったんだ。壁を突き破り続ける、そんな当たり前のことに、今頃気がついたよ)
「あはッ、あはははははははははははッ!!」
マリは右手で目を覆い、顔を上に向けて笑い出した。そして顔から手を離し、にやけた顔をシンジに向ける。
(つづく)
シンジの言葉に、マリがビクッと身体を揺らした。
「これも……必要? そうなのかな……」
揺れる気持ちを整理しながら、マリは考える。
「うん、そうだよね……すごく切なくて、恥ずかしいよ……私、おかしくなりそう……けど……そっか、だからいいんだ……必要なんだ、この気持ちも……」
マリは腰をかがめ、シンジに抱きつく。シンジの首に腕を絡めながら、うっとりとした目で見つめる。
「感じるもの、すべて受け入れないといけないんだよね……私、気がつかないうちに、壊れることから逃げてた……」
腰は妖艶に、淫らにうねり続ける。
「んもう! 私がシンジに教えてたのに、逆に私が教わっちゃった。シンジって、本当に生意気だね」
マリは顔を寄せ、シンジの唇を奪う。触れ合う唇のやわらかな感触を確かめると、マリは舌を伸ばしてシンジの中に挿れた。マリの舌がシンジの舌を探す。シンジの口の裏側を、頬の肉壁を、歯の裏を、歯茎を、様々な個所を舌が這い舐めまわる。
「あぅん……」
シンジがマリの舌を撫でた。接触した二人の舌は、互いを求めるように絡み合う。複雑にうねり、滑らかな感触を楽しむ。
「ふあぁ……」
お互いを求める気持ちは、舌が絡むほどに強くなり、どんどんと激しいキスとなっていく。二人のよだれが混じり合い、唇の間でじゅぶじゅぶと水音がなる。下になっているシンジには、混じり合ったよだれが流れ込んでいく。定期的にシンジの喉がゴクッとなる。
「だめ、すごく切ない……切なくて……たくさん動いちゃう……」
深いキスをしながらマリは呟く。そして、淫らに、素早い腰使いで、肉棒に秘華の肉壁を擦りつける。口から響くよだれの水音と、秘華から響く淫汁の水音が混じり合い、ひどくいやらしいサウンドとなって二人の耳に届く。この淫音が、二人を極限にまで興奮させていく。
「ああッ!! たまらないッ!! すごくたまらないッ!!」
マリはバンッと両手で床を叩きつけ、その勢いで身体を一気に起こした。馬乗りの体制に戻ったマリは、頭の後ろで手を組んで両腕を上げる。そして妖艶で淫靡な目で、シンジに熱い視線を送る。マリの悩ましげな悩殺ポーズは、ひどく美しく、野性味ある情欲を醸し出す。時折、唇を舌舐めずりする仕草に、更に淫靡さが増す。
「切ないのが気持ちいい!! 恥ずかしいのが気持ちいい!!」
少し背中を反らせながら、美しい姿勢で舞うマリは、腰の動きをどんどんと激しくしていく。肉棒と肉壁がすり切れるのではないかと思うくらいに、マリは全身を使って力強く腰を振りぬく。
「痛いのが気持ちいい!! 苦しいのが気持ちいい!! 疲れるのが気持ちいい!! とにかく全部、気持ちいいッ!!」
気持ちが高ぶったマリは、心からの本心をシンジに向かって叫ぶ。マリは両膝を立てて、腰を沈ませる。膝立ちになったことにより、マリは大股を開いた格好となる。M字に開かれるマリの股間、そして脚。秘華はおもいきり拡げられ、性器同士が繋がっているのが丸見えになっている。
「もっともっと! もっとすごいのがいい! すごいの欲しい!! バカみたいな刺激が欲しい!!」
マリは両膝を手で掴み、更に脚を左右に開く。限界まで拡げられた秘華は、勃起して膨張したクリトリスまでも丸見えにする。
秘華からは、時折びゅるびゅると淫汁が噴き出す。両膝を掴んでの膝立てセックスは、まるで和式便器に向かって放尿しているかのようだった。
「ああッ!! すごい!! すごいぃ!! ここまで気持ちよくなったの、はじめて!!」
ばん、ばん、ばん、とマリの秘華がシンジの下腹部を打つ音が響く。打撃音と連動して淫汁が飛び散り、シンジの腰と腹の上がびっしょりに濡らされる。更に淫汁はそのまま床に垂れ落ち、シンジの腰の下に水たまりができていく。
「すごいよ、マリ……すごすぎる……ぼくもずっと、切ないんだ……ずっとずっと切なくて……」
押し殺していた気持ちをシンジは漏らしてしまう。切なさが羞恥心を上回った。
「ぼくもしていいのかな……ぼくもしたいよ……犯したい……」
「いいよ! 当然でしょ! シンジもしなよ! シンジもして!! 犯して!! 一緒に限界の先に行くって言ったじゃない!!」
シンジはこくんと頷き、そして歯を食い縛った。下腹部に力を込め、背中を床に押しつける。
「ぼくもする……する! するよ!! いいんだよね、マリ!! ぼくだって!! ぼくだってぇ!!」
ぐうッと腰を突きあげ、マリの秘華に更に深く肉棒を挿れ込む。ぐん! ぐん! と腰を突き出し、マリの腰振りに合わせて互いの性器を貫き合う。
マリが腰を上げるとシンジは腰を沈ませる。秘華から肉棒が抜けそうなところまでいくと、今度はシンジが腰を突きあげ、マリは腰を沈ませる。すると亀頭がマリの子宮口にごつんッと撃ち当たる。凶悪な快感を伴う衝撃がマリの子宮を貫通し、マリの全身を快楽が走り昇り、マリの脳に雷撃がほとばしる。
「ああッ!! あああぁぁぁあああッ!!」
がくがくと全身を揺らしながら、マリは凶暴な快楽と闘っていた。少しでも気を抜くと、意識を持っていかれてしまう。そうなれば、即、失神。それでもマリは腰を振りぬき、シンジも腰を突き上げ続ける。ごつん! ごんごん! ごつがつん! ごつん! 亀頭は容赦なく子宮口を撃ち上げ、マリに絶え間なく衝撃を走らせる。
「あうあぁぁッ!! ひぃう! ふあぁぅあううああッ!!」
マリは半狂乱になって叫んだ。意識を失いかけている。まるで致死量のドラッグを喰わされたようなひどい快楽が、マリに襲い続けてくる。
おかしくなる。本当に気が狂う。しかし、壊れるということはそういうこと……そう思っていた。壊れる覚悟はできていた。限界の先に行くのは、自分なら容易いとタカをくくっていた。だが、そんなに甘いものではなかった。
恐怖……今、マリの前に立ち塞がった壁、それは恐怖だった。今まで幾多の生死をさまよい、死線を切り抜けてきたマリであったが、そんなものとは較べものにならないほどに、強い恐怖が襲っていた。
「恐い……」
つい漏れてしまうマリの本音。マリは身を震わせながら目を潤ませる。
「恐い……恐いよぉ……なんで? ……なんでこんなに恐いの?」
わけがわからなかった。なぜ、たかが性行為で、こんなにまで恐怖を感じるのか。
「大丈夫だよ、マリ」
不意に聞こえたシンジの声に、マリはハッとした。
(つづく)