「なら、これでどうですか?」
唇が触れ合う。そして重なっている唇を、奈美の舌が開いてくる。
「んん……」
柔らかな舌が、先生の口内に入ってきた。奈美の舌が、先生の舌を探る。先生の歯、歯茎、頬の裏側、奈美の舌は先生の口内中を撫でまわす。
「んんッ、んん……」
奈美の舌が先生の舌に触れた。二人の舌は、互いを求めるように絡み合う。二人の唾液が混じり合いながら、滑らかに、ぬるりぬるると、激しく舌が絡みうごめく。
「んふぅ、ううん……」
長い長い大人のキス、二人は口を犯し合う。奈美の喉がこくんとなった。目を潤ませながら、溶け合ったたくさんの唾液を、愛しそうに飲み込んだ。
「ふあッ」
奈美は唇を離した。離れた互いの唇の間、そして舌と舌の間に、透明な架け橋が架かる。架け橋は少しづつ伸びていき、ポタリと滴になって垂れ落ちた。
(つづく)
「は?」
放課後、日塔奈美に呼び出された先生は、突然の申し出に唖然とする。教室にふたりきり、お互いに見つめ合う。
「先生――」
「日塔さん――」
顔を寄せ合いながら、そっと唇を重ねる。落ちかけた夕日に照らされ、影が長く延びる。教室の壁に映し出された影も、唇を重ね合わせている。しばらくすると、ふっと奈美は唇を離した。
(つづく)